X線検査(レントゲン検査)
どういう検査なのか?

人間でもおなじみ、X線を使って体の中を見る検査です。
胸、お腹の2ヶ所に分けて撮影する場合が多いですが、心臓病において特に大事なのは胸の写真です。
また、通常は胸・お腹など一つの部分に対して、正面からと横からの最低2方向から写真を撮影します。
前からの撮影というのは、ワンちゃんをバンザイさせて正面から見た写真とイメージしてもらえれば大体OKです。
この正面からと横からの写真を総合的に見て、状態を判断します。
そこから何が分かるのか?

- 心臓の大きさはどうか?
- 肺に水がたまっていないか?(肺水腫)
- 胸に水がたまっていないか?(胸水)
- 血管の状態はどうなっているか?
- 肺炎などが起きていないか?
- 気管の状態はどうなっているか?
などを判断することができます。
特に、肺に水がたまっていないか(肺水腫)の判断はこのX線検査に頼らないと難しい場合も多く、呼吸困難になるような子の場合にとても大事な検査になります。
検査のメリット・デメリット
比較的簡単に行えて、たくさんの情報を得られる検査です。
心臓病の子において、肺の状態はとても重要な要素ですが、肺水腫の診断など肺の状態を調べるのはX線検査の得意分野です。
デメリットはあまりありませんが、あえて挙げるならば
- 被曝(ひばく)の問題
- 検査時のストレス
あたりでしょうか。
レントゲン検査ですから、被曝はもちろん避けられません。
特に東日本大震災の後は被爆の影響を恐れる飼い主さんが増えました。
慣れないものに不安を感じる気持ちは分かりますが、この問題は被爆するのかしないのかではなく、被爆の「程度」で考える必要があります。
実際には胸部X線検査での被爆量はごくわずかです。
あなたもこれまでに一度は健康診断でX線検査を受けて被爆していると思いますが、その被爆で苦しくなったり、その他の健康被害を受けた実感はたぶん無いはずです。
あなたの愛犬の実感も同様だと考えて頂いて結構です。
むしろ愛犬への影響で言えば、被爆よりも検査時の精神的ストレスの方が重要な場合が多いです。
X線写真は正しい姿勢で撮らないと診断上の価値が乏しくなります。
自分で正しい姿勢をとってくれない犬相手では、いかに優しく押さえて撮影をするかという技術が問われ、動物病院のスタッフはとても気をつかって撮影をしています。
ほとんどの子は問題無いのですが、病院嫌いでパニックになる子はストレスの面から検査を中止せざるを得ないときもあります。
これはX線検査に限らないことで、心電図検査でも超音波検査でも身体検査でも当てはまります。
愛犬が苦しんでいるのに、しつけの問題で検査が出来ない、治療が出来ないとなった時、「じゃあ仕方ないよね」と納得出来る飼い主さんは少数です。
人に慣らす、病院に慣らすのは日頃から意識しておいて欲しいなと思います。
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