高齢犬の心臓病
質問
実家の犬、雑種の雄、17歳のことで質問があります。
先日病院に連れて行ったら心臓病だと言われたそうです。
20キロあったのが短期間で4キロ痩せました。
心臓の弁が弱ってて逆流してる?そうです。
レントゲンだけじゃわからないからCTをすすめられたそうなのですが、CTは撮るだけで何万もかかるとかでお恥ずかしながら年金暮らしの親は出せなかったそうです。
詳しいことがわかれば薬で発症を遅らせることができるとかなんとか言われたみたいなのですが…
このまま何もしないでいたらお別れは早いでしょうか?
ちゃんと薬飲ませたらもっと生きられるのでしょうか?
本人はいたって元気で散歩も行くしご飯もよく食べるけど食べすぎると吐くそうです。
高齢犬なので耳もあまり聞こえないし白内障です。
もう17歳なので覚悟はしていましたがいざとなると悲しくて仕方ありません。
私にも余裕があるわけではありませんがやはりちゃんと検査を受けさせるべきでしょうか?
解答
ご質問ありがとうございます。
「高齢だけど、しっかり検査をして、心臓病の治療をした方が良いか?」
というご質問と受け取りましたので、それに解答させて頂きます。
(違っておりましたらご指摘下さい)
文章からの判断ではありますが、獣医学的には検査はされた方が良いと感じました。
ただし、心臓病も大事かも知れませんが
「心臓病以外に大きな病気が起こっていないか?」
という視点での検査も重要だと考えられます。
つまり、人間ドックのような健康診断がおすすめです。
17歳という高齢になりますと、正直言って「何でもあり」な年齢です。
心臓病はもとより、ガン、肝臓病、腎臓病、ホルモンの病気などなど、
何でも疑ってかからなければなりません。
特に上記のような、高齢になってから出てくる事の多い病気の特徴は、
「ごはんは食べているけれど、だんだん痩せてくる」です。
もし短期間で4kgも体重が落ちてしまう原因が心臓病のみであれば、
もっと他の症状が出てくるような気もします。
また、飼い主としても良く分からないままでは不安を解消するのは
難しいかと感じましたので検査をおすすめさせて頂きました。
ですが、
検査がおすすめとは言いましたが、最初にも述べたとおり、「獣医学的には」です。
また、CTが必須ですとか、考えられる限りの検査をしなければならない
という意味でもありません。
どんな時でも「出来る範囲でやる」というのが大原則です。
無理なくやれる範囲での医療をおすすめします。
ここから先はとても多くの飼い主さんに当てはまると思いますので、
この場を借りて皆さんにお伝えさせて頂きたいと思います。
多くの飼い主さんは動物に対して、「自分がしてやれなかった事」を悔やむ傾向にあります。
僕もそういう思いに捉われた事はありますし、気持ちは凄く理解出来るのですが、
その思いが良い結果を生む例をあまり知りません。
- 時間が無くて○○してあげられなかった
- お金が無くて○○してあげられなかった
- 気がつかなくて○○してあげられなかった
- 知識がなくて○○してあげられなかった
こう思うことによって動物や飼い主が救われるのなら構わないと思うのですが、実際は逆です。
また、これは断言できますが、この発想に捉われている限り、
- 例え時間が豊富にあったとしても
- 例えお金が豊富にあったとしても
- 例え△△が充分だったとしても
実際に気持ちが楽にはなりません。
問題の本質は「どこか足りないところに目が向く視点」だからです。
そのため、外の条件が大事なのではありません。
自分の心の置き方が極めて大事なのです。
実際病気の子と暮らしている最中の飼い主さんにとっては
難しいだろうというのは承知の上で申し上げていますが、
愛犬とあなた自身のためにも是非そこを意識してもらえたらなと思います。
あいだみつおさんの言葉にも、
「しあわせは いつも じぶんの心が決める」
というのがありますよね?
(うろ覚えですので違っていましたらすいません)
今回の書き込みは人によってはちょっと辛いものだったかもしれません。
そうでしたらごめんなさいm(__)m
いつものように伊藤個人の意見ですので、何かの参考になれば幸いです。
愛犬の死の捉え方について
「もう17歳なので覚悟はしていましたがいざとなると悲しくて仕方ありません。」
との事ですが、おっしゃられる通りです。
ここで大事な点が3つありまして、
- 生き物は必ず死を迎えるという覚悟(理解)は必要
- 大事な子であれば、お別れが悲しいのは「正常」であり、悪い事ではない
- そして、死というもの自体は悪い事ではない
という点です。
このコミュニティの参加者の中には、愛犬とお別れした子も少なからずおります。
(中にはご丁寧にご報告下さった方もおられます。ありがとうございます。)
当たり前の事なのですが、
このコミュニティの参加者の全ての愛犬は、必ずいつかお別れの時を迎えます。
それどころか我々飼い主だって必ずお別れの時を迎えます。
どうしても悲しい気持ちがつきまとうので、
「死=避けたいもの」
「死=悪いもの」
という認識を持ってしまいがちではありますが、
死をそのような認識で捉えていたら、先に旅立ったこのコミュニティの愛犬達に失礼にあたるのではないかなと僕は思います。
僕は、この世に残っている身として
- お別れの時は真正面からしっかり悲しんで
- そして自分が生きている内はしっかり楽しんで生きる
という姿勢を持ちたいと思っています。
偉そうな事ばかり書いてしまいましたが、
「言うは容易く、行うは難し」と言われるように僕もなかなか実行出来ていません。
でも以前に「病気の子と暮らす時の心構えのセミナー」をやった時に、
受講者から「こういう話を聞く機会がなかなか無い」という声を貰ったのを思い出しましたので
コミュニティの誰かの役に立てるかなと思い書き込ませていただきました。
ご質問から脱線してしまってすいませんでした。
愛犬、どうぞお大事になさって下さい。
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