聴診(ちょうしん)
どういう検査なのか?
聴診器を使って体の内部の音を聞く検査です。
身体検査に含まれるのですが、心臓病の診断においてとても大事なので別にとりあげました。
大きく分けて、
- 心臓の音(心音)
- 呼吸の音
の2つを聞いて、心臓や肺・気管などの異常を探ります。
そこから何が分かるのか?
心臓の音の聴診
僧帽弁閉鎖不全を疑う子の心臓の聴診で大事なのは、まず何といっても心雑音(しんざつおん)です。
獣医さんに「心臓から雑音が聞こえます」と言われるのは、この心雑音のことです。
普通なら「ドックン、ドックン」と聞こえる心臓の音が、「ドザーー、ドザーー」と、「ザー」という雑音に後半がかき消される感じで聞き取れます。
血液がきれいに流れないと、心雑音が発生します。
僧帽弁閉鎖不全症では心臓内で血液が逆流するため、そこで血液の流れが乱れます。
この血流の乱れが雑音を作りますので、それを聴診器で聞いて捉えます。
ちなみに心雑音の大きさを表すためによく使われる分類があります。
Levine分類(ればいんぶんるい)という、全部で6段階の分類で、1が一番軽く、6が一番大きな音量の雑音を表します。
この分類のよくある誤解として、
- 「ウチの子は6段階中の5です。もうそんなに進行しているなんて怖いです」
- 「先日病院に行ったら、この前3だったのが5になっていました。そんなに急激に進行したんでしょうか」
などと心配されている飼い主さんを見かけますが、あくまでLevine分類は心雑音の大きさの分類であり、心臓病そのものの進行具合を表しているわけではありません。
ある程度、心臓病の進行と関係しているのは事実ですが、例外はいくらでもありますし、6段階中の6になったら死ぬわけではありません。
呼吸の音の聴診
呼吸の音の聴診では、
- 肺水腫が起こっているかどうか
- 肺や気管に異常は無いか
の情報が得られます。
肺水腫は僧帽弁閉鎖不全症にとっては重大な症状ですし、肺や気管などの呼吸器の状態も治療を考える上でとても重要です。
検査のメリット・デメリット
基本的に身体検査のメリット・デメリットと同じです。
簡単で、得られる情報が多いので、まず実施されると思います。
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