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心臓病を早期発見するには?

質問

はじめまして。
初めてカキコミさせていただきます。
現在Mダックスと生活しています。
小さい頃、目の手術(チェリーアイ)をしましたが、以後問題なく生活していますが、
「心臓病」の早期発見はやはり定期的な健康診断しかありませんか?

しぐさや予兆などあるようでしたらご教授ください。
また心臓病に掛かりやすい年齢なども教えていただけると幸いです。

回答

ご質問ありがとうございます。

心臓病の早期発見に関してですが、基本的にはやはり検査が一番です。

なぜなら、

多くの心臓病は初期にほとんど症状が無いから

です。

例として、犬に一番発生が多い僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
でお話します。

僧帽弁閉鎖不全症は、

僧帽弁がどんどん元の状態から変化してしまい、
 ↓
変化した結果、きちんと働けなくなって、
 ↓
本来一方通行のはずの血液が逆流してしまう

という病気です。

この病気の進行していく過程を追いつつ考えてみると、

僧帽弁閉鎖不全症で、一番最初に分かる事は何か?

 それは僧帽弁の変化です。

 これは正直、超音波検査でないと分かりません。

僧帽弁の変化が進むと、そのうち血液の逆流が起こり始めます。

 この逆流を初期から捉えるのに一番有効なのは、またも超音波検査です。

 血液の逆流があれば聴診によって雑音が分かる場合もありますが、
 初期の小さな逆流では、まだ音も小さく、聞こえにくい場合も多いです。
 (でも経験豊富な先生の場合、この聴診の感度が高かったりします)

その後、血液の逆流が多くなってくると色々な事が起こってきます。

 雑音が大きくなるので聴診でも良く分かりますし、
 心臓が大きくなるので心電図やレントゲン検査でも異常が見つかりますし、
 もちろん超音波検査でも血液の逆流が良く分かります。

 程度によっては、咳などの症状も出始めます。
 自宅で見ていて気がつくのは、大抵このレベルになってからです。

といった感じになります。

というわけで、超音波検査が有効です。

「なんだ、結局、超音波検査が一番か」

と思われるかもしれません。

確かに、ここ10〜20年の超音波装置の性能のパワーアップはめざましく、

「心臓病をしっかり診断するなら超音波検査は必須」

と言っても言い過ぎではないくらいのところにまで来ました。

「出来るだけ早期に心臓病を見つけたい」

と思われるのであれば、おすすめです。

超音波検査の注意点

先ほどおすすめした超音波検査ですが、注意点もあります

獣医師・動物看護士でないと分かりづらいところですが、
知っていると知らないでは差が出ますので、お伝えしておきます。

それは、

という点です。

超音波検査の装置の性能はピンキリ

心臓をしっかり診たいのであれば、

「カラードップラー」という機能が付いている装置がどうか?

が極めて重要です。

カラードップラーとは、簡単に言うと、血液の流れが色で見える機能です。
これで血液の逆流などをチェックします。

これがあった方が当然、良いです。

さらに言うと、カラードップラー機能が付いている機種の中でも性能の差が激しいです。

僕は仕事柄、いくつかの超音波装置を使っていますので分かるのですが、
やっぱり高い機械はいいです。
見え方が全然違います。

ただし、機械の性能が上がるにつれて、お値段も跳ね上がっていきます。
どんな病院でも簡単に買えるものではありません。

同じ超音波検査でも、値段が違う背景にはこういう事情もあります。

超音波検査には技術が必要

あまり一般に知られていない事かもしれませんが、

獣医師は大学を出た時点では、ほとんど診察が出来ません。

かなりの量の知識は詰め込んで卒業してくるのですが、
それでも現場レベルでは通用しません。

現場で鍛えられながら、成長してくるんですね。



超音波検査も同様です。
獣医さんだからやれるという訳ではありません。

ですから、立派な装置はあるけれど、検査出来る人がいない…というような病院もあります。
一応検査をしているけど、おそるおそる…という病院も知っています。

でも、これは仕方が無い部分もあります。

ふつう、獣医さんは全ての病気を診なければなりません。
やらなければいけない範囲が膨大過ぎて、超音波検査だけには時間が割けません

僕は心臓が専門ですから、超音波検査は日常的にやっていますが、
逆にほとんどの獣医さんがこなせる事はまるで出来なかったりします。

僕も何年かは町の獣医さんとして働いていましたので分かりますが、
全ての分野をやるのは極めて大変です。

ほとんどの先生方は町の獣医さんとして、全ての分野を頑張られています。
それは物凄い事ですし、本当に頭が下がります。

超音波検査だけで全てをカバーできる訳ではない

超音波検査も万能ではありません

他の検査と組み合わせる事によって力を発揮しますし、
場合によっては他の検査を優先させた方が良い場合も多々あります。

心臓病の早期診断に限る、のであればかなり有効ですが…。

まとめますと、

「心臓病を早期発見する」のが目的であれば、

となります。

ご参考になりましたでしょうか?
何かご不明な点があればご質問下さいね。

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