けっこう誤解が多い、僧帽弁閉鎖不全症という病名について説明します。
ここで間違えないよう覚えてしまってください。
僧帽弁閉鎖不全症の意味
僧帽弁閉鎖不全症という病名は漢字がずらりと並ぶので難しそうに思えますが
- 僧帽弁 → 僧帽弁が
- 閉鎖 → 閉ま
- 不全 → らない
- 症 → 病気
という意味で、あまり難しいことは言っていません。
「心臓の中にある僧帽弁という名前の扉が、いろいろあってうまく閉まらなくなった状態」で、もっと簡単に言えば「ドア閉まらない病」です。
僧帽弁の名前の由来
ちなみに、僧帽弁は図の位置にあります。
心臓の左側(こっちから見ると右側)にある、上と下の部屋の間にある扉です。
なんで僧帽弁と呼ぶのかですが、これは文字通り
- 「僧」侶がかぶる
- 「帽」子のような形をした
- 「弁」
が由来になっています。
僧侶と言っても日本のお坊さんではなく、カトリックの僧侶だそうで、この人たちがかぶっている帽子がミトラと呼ばれます。
このミトラに似た形の弁、だから僧帽弁。
そんな名前の由来だそうです。
ちなみにミトラは英語でmitraで、弁はvalve(バルブ)なので、僧帽弁の英語表記は
Mitral Valve(マイトラル バルブ)
になります。
改めて、僧帽弁閉鎖不全症という病名について
ここまでの話を合わせると、僧帽弁閉鎖不全症という病名は
- 僧 → 僧侶がかぶる
- 帽 → 帽子のような形をした
- 弁 → ドアが
- 閉鎖 → 閉ま
- 不全 → らない
- 症 → 病気
となります。
よくある病名の間違い
僧帽弁閉鎖不全症は間違った病名で呼ばれることが多々あります。
例を挙げると
- 「増」帽弁閉鎖不全症(増えません)
- 「憎」帽弁閉鎖不全症(憎くありません)
- 僧「坊」弁閉鎖不全症(僧侶感は伝わりますが、帽子がお坊さんになってます)
- 僧帽弁「」不全症(閉鎖が抜けてます)
などです。
病名の由来まで理解していれば間違えないかもしれませんが、そんな飼い主さんがそういるはずもなく、間違うのも無理はないかなと思います。
ただし、こういう勘違いって指摘される機会がないとそのままになりがちですので、良かったらここで確認しておいてください。
僧帽弁閉鎖不全症と似た意味の用語
実は、僧帽弁閉鎖不全症と似たような意味で
- 心臓弁膜症
- 僧帽弁逆流(MR: Mitral Regurgitation)
- 粘液腫様僧帽弁疾患(MMVD: Myxomatous Mitral Valve Disease)
- 変性性僧帽弁疾患(DMVD: Degenerative Mitral Valve Disease)
などの用語が使われることがあります。
これは専門家レベルの細かい話なので、覚える必要はありません。
じゃあ、なぜわざわざこんな話をしたのかというと、あなたが獣医さんと話したり、自分で病気のことを調べていくと、上記の用語(特に心臓弁膜症と僧帽弁逆流(MR))に遭遇するかもしれないからです。
厳密には全く同じ意味の用語ではありませんが、飼い主さんの立場なら、上記のどれを聞いても僧帽弁閉鎖不全症と同じだと考えてもらって大丈夫です。