猫の心筋症がどのように進行していくのかについて説明します。
大まかな流れ
猫の心筋症は、大まかには図のように進行していきます。
まずは心臓の筋肉がやられ、血液がうまく送り出せなくなります。
送り出せない血液が心臓に溜まるため、心臓がふくらんでいきます。
そして血液の流れが滞る影響で、胸のスペースなどに水が溜まったり、血のかたまり(血栓)ができたりして色々な症状が出てきます。
猫の心筋症の進行度の分類
猫の心筋症の進行度については、アメリカ獣医内科学会(ACVIM: American College of Veterinary Internal Medicine)のガイドラインによる分類がよく用いられます。
今のところ2020年版が最新バージョンで、無料公開されているので誰でも読むことができます。
「チャレンジしてみたいけど英語は…」という人はDeepLという翻訳ツールが助けになるかと思います。
このガイドラインによる分類を、先程の病気の進行に当てはめると以下のようになります。
ステージA
心筋症になりやすい猫の品種がこのステージAに入ります。
つまり、まだ病気ではない段階です。
「まだ病気じゃないんだけれど、他の品種の猫と比べると心筋症になるリスクが高そうだから気をつけてね。定期検診してね」という段階です。
ステージB
このステージBから心筋症と診断される段階に入ります。
心臓の筋肉がやられて、血液を送り出すのに問題が起こり始めた段階です。
ステージBの猫は基本的に無症状ですが、「水が溜まったり血栓ができたりなど、心筋症による大きな問題が出てきそうか?」という視点からステージB1とステージB2に分けられます。
具体的には、主に心臓の大きさによって判断します。
ステージB1
心臓の筋肉に問題はあるけれど、まだ程度が軽く、心臓のサイズは正常か、ちょっと大きくなっているくらいの段階です。
一般的には、この段階であれば猫に自覚症状はありません。
心筋症による大きな問題が起こるリスクが高いとも判断されません。
軽度の進行具合というイメージです。
ステージB2
ステージB1の頃よりもさらに心臓が大きくなり、中程度以上の大きさになるとステージB2と判断されます。
この段階になると、身体のどこかに水が溜まったり、心臓の中で血栓ができるなどの大きな問題が起こるリスクが高いと判断されます。
中程度の進行具合というイメージです。
ステージC
ステージCは、心筋症によって大きな問題が起こった段階です。
具体的には
- 水が溜まる
- 胸のスペース(胸水)
- 肺(肺水腫)
- 心臓を包む膜(心膜水 or 心嚢水)
- 血栓ができて血管に詰まる(動脈血栓塞栓症)
が起こります。
どの問題も程度はさまざまですが、ひどければ命に関わります。
重度の進行具合というイメージです。
ステージD
ステージDのキーワードは「難治性」です。
頑張って治療しているにも関わらず、症状が改善しきらず、あまり良い状態を保てない段階です。
いわゆる末期状態で、治療をしていても急変のリスクが高い段階です。
まとめ
ステージAからDまでの特徴をまとめると、こんな感じになります。
実際にはこの分類がうまくマッチしない子もいますので、あくまで大まかな目安と考えてくださいね。