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心房中隔欠損症

質問

フレンチブルドッグの男の子、6ヶ月に
先天性の心房中隔欠損症の疑いがあると診断されました。

検査結果は、

でした。

寝ている時に無呼吸になることがあり、念のために検査していただいたのですが、
思ってもいなかった結果だったのでとても動揺しております。

かかりつけの先生は1ヶ月後にまた検査をして、
場合によっては心臓の専門の先生がいる病院で手術することも
考えておいてくださいとおっしゃっていました。

自分なりにこの病気について調べてみたところ、
程度によって様々な治療の方法があるようで、
全く先が見えず、不安な日々を過ごしております。

出来るだけのことはしていこうと考えています。
この先元気に生活していくことができるのであれば、
手術もやむを得ないとは思うのですが、麻酔のリスク、
また心臓の手術をした為に亡くなってしまったというような話を聞くと、
もし手術が必要と診断されても、踏み込んでいいものなのかどうか…。

やはりこの手の疾患は手術をするのが一番なのでしょうか?

定期的に検査をして、運動制限、食事制限等こちらが気を付けてあげれば、
長く生きていくことも可能な場合もあるのでしょうか?

今はまだこれといった症状も出ていなく、いたって元気に過ごしているので、
私が手術という選択肢を選んだことによってこの子が二度と帰ってこない
ようなことになれば、後悔してもしきれないと思うのです。

どのようにしてあげるのがこの子にとってベストなのか、
ご意見を聞かせていただけないでしょうか?

回答

ご質問ありがとうございます。

最近、このコミュニティでも先天性心疾患(=生まれつきの心臓の病気)の
話題が増えてきました。

そのため、今回のご質問者と近い状況の方も多くおられると思います。
そういった方たちにも役立つように回答していきたいと思います。

まず先天性心疾患ですが、

これは簡単に言うと「心臓の奇形」です。
奇形の結果、心臓の大事なルールである

「血液の流れは一方通行」

が破られてしまう事により問題が起こります。

犬で一番発生が多いのが、動脈管開存症という
「心臓近くの血管に抜け道が出来てしまう」
という奇形です。

また、心臓の内部の壁に穴が開いてそこが抜け道になる場合もあります。
その一つが今回の心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)です。

これらの奇形で何が起こるのかと言いますと、
抜け道のおかげで血液の一方通行のルールが破られ、渋滞が起こります。
その結果、心臓に血液がたまって膨れ上がったり、
血管を通して心臓とつながる肺やお腹に水がたまったりします。
 
 (もっと詳しくという方へ→胸水・腹水はなぜ溜まるのか?

ただし、これらの症状はあくまで「程度次第」です。

抜け道が小さければ大した影響はありませんし、
逆に大きければ病気の程度もひどくなっていきます。

そのため、実際には心臓の奇形と言っても、

「全然問題が無くて、治療の必要もない」

なんてものから、

「治療を考えないと命が危ない」

というところまで非常に幅があります。

ですから心臓の奇形が疑われる場合は、

きちんとした検査を行う事がまず何より重要

となります。

その上で、治療をどうするか?になります。
もちろんどんな病気だってそうと言えばそうなのですが。

先天性の心臓病の治療

先天性の心臓病の治療では、
「手術をして、抜け道を無くすかどうか?」
が大きな選択の分かれ目になります。

お薬は基本的には心臓のサポートという位置づけになりますので、
根本的な対処をするには手術が必要になります。

ですが、前回申し上げたように一言で心臓の奇形と言っても程度が様々です。
そのため、どんなものでも手術をした方が良いとは言えません

その他判断の助けになると思われる点として、

  • 穴が開いていても、小さいものなら成長とともにふさがる事がある
  • 手術が必要な状態であり、手術が可能なら、早くした方が良い場合が多い
  • 心臓の内部に穴が開いている場合の手術は確かに難易度が高く、きちんとした設備と技術を持つところでないと行えない

があります。

結局のところ、手術をした方が良いかどうかの判断は総合的なものであり、
これは獣医師の専門的な仕事になります。

ですから飼い主側としては、

気になるのでしたらまずするべき事はやはり、

「きちんとした検査が出来るところに連れていく」

という事になるかと思います。

僕は実際に診察しておりませんので文章からの推察になりますが、
かかりつけの先生は、
「すぐに手術が必要な状態には思えません。
そのため、今後も問題はないかもしれませんし、自然に治るかどうか見ても良いのでは?
ただし生き物相手に100%はないですから、手術の事は知っておいて下さいね」

という判断とお話をされているように感じました。

以上の事を踏まえて、かかりつけの先生と良く話し合われてみてはいかがでしょうか?
生まれつきの病気は誰もが予期しないものですから、ショックだと思います。
どうぞお大事にして下さいね。

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