僧帽弁閉鎖不全症ってどんな病気?
僧帽弁が閉じない病気
読んで字のごとく、
- 僧帽弁 僧帽弁を
- 閉鎖 閉じるのが
- 不全 上手くいかない
- 症 病気
になります。
心臓の中にある僧帽弁という扉が上手く閉まらなくなる病気と思って下さい。
なぜ上手く閉じなくなるのかといいますと、
- 弁自体がもろくなる
- 弁を引っ張る糸がもろくなって伸びたり切れたりする
などが原因です。
僧帽弁が上手く閉じないと
僧帽弁が閉じなくなると、
僧帽弁が上手く閉じない
↓
血液の一部が、閉じ切らない弁から逆流する
ということが起こります。
そのため、この状態を僧帽弁逆流とも言います。
心臓の弁がおかしくなる病気なので、心臓弁膜症とも言います。(心臓の弁は僧帽弁以外にもあるので、これだけを弁膜症と呼ぶわけではありませんが…)
僧帽弁閉鎖不全症で起こること
- 僧帽弁閉鎖不全症とは僧帽弁が上手く閉じない状態です。
↓ - 僧帽弁が上手く閉じないと、一部の血液が逆流するようになります。
↓ - 血液が逆流した分だけ、心臓から全身に送り出される血液が少なくなります。
↓ - 全身に送り出される血液が減ったのをカバーしようと、心臓はいつもより頑張り始めます。
↓ - そのおかげでかなり長い間、全身に大きな影響はありません。
↓ - でも、頑張り続けている心臓には負担がかかり、次第に弱っていきます。
↓ - いつか心臓の頑張りが限界に達するときがきます。
限界に達して、血液を充分に送れなくなり、様々な症状が出るほどの状態を心不全(しんふぜん)といいます。
心臓の機能が落ちた時の影響
心臓の働きがかなり落ちると、全身にも影響が出てきます。
- 運動が困難に
運動時は筋肉がたくさんの血液を必要とします。
正常な心臓であれば簡単に血液を送り出す量を増やせますが、心不全の状態では身体の要求に応えることができません。
結果として、疲れやすくなり、すぐ息がきれるようになります。
- 腎臓への影響
腎臓は心臓病の影響を受けやすい臓器の一つです。
腎臓は血液中の老廃物を尿として捨てている臓器ですが、血液が来ないことには仕事が進みません。
老廃物の中には毒素も含まれますので、これが捨てられないと全身に様々な影響が出てきます。
- 肝臓への影響
肝臓も、心臓病の影響で上手く血液が巡らなくなるとダメージを受けます。
その結果、血液検査で肝臓の項目に異常値が出る場合があります。
- 腸への影響
腸の働きにも血流は重要です。
腸での血液の巡りが悪くなると、消化吸収に影響を及ぼすほか、下痢などの症状が見られる場合があります。
心臓にも血液が溜まる
心臓から血液が送り出しにくくなると、出ていかない分の血液が心臓にたくさん溜まってきます。
この血液が溜まった状態をうっ血(うっけつ)と呼びます。
心臓の機能が落ち、血液を送り出す量が減るのにつれて、うっ血の程度もひどくなってきます。
心臓のうっ血がひどくなると、心臓が血液でパンパンになってふくらんできます。
これが獣医さんに「心臓が大きくなっている」と言われる状態です。
正確には心拡大(しんかくだい)と呼ばれますが、獣医さんから心肥大(しんひだい)という言葉で説明される場合もあると思います。
さらにうっ血が進むと…
心不全のレベルまで心臓のうっ血がひどくなると、心臓はパンパンになりすぎて、もうふくらみきれません。
すると、心臓の手前でつながっている肺にも、うっ血の影響が及びます。
肺のうっ血がひどくなってくると、血液の水分が肺の中に漏れ出てきます。
肺が内側から水浸しになっていくので、溺れて水を飲んだのと似た状態です。
この肺の中に水が溜まってしまった状態を肺水腫(はいすいしゅ)といいます。
うっ血の影響が肺以外の場所にも及んだ場合、肺と同じように胸のスペースやお腹のスペースに水が染み出てくることもあります。
これらはそれぞれ、胸水(きょうすい)や腹水(ふくすい)と呼ばれます。
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