ごあいさつ

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「愛犬が心臓病と言われたら」にようこそ!
獣医師の伊藤大輔と申します。

ここは、愛犬の心臓病に悩む飼い主さんに情報を提供するために作られた、僧帽弁閉鎖不全症についてまとめたサイトです。

「なぜ、そんなサイトを作ろうと思ったのか?」

という経緯も踏まえて、ご挨拶させて頂きます。

我が家の愛犬

まず、我が家の愛犬の話をさせて下さい。
コゲという名前の雑種犬(♂)を飼っていました。

愛犬、コゲです。

僕が中学生の頃にもらわれてきた犬です。

「僕が世話をするから」というよくあるパターンで、コゲは我が家の一員となりました。
とは言え、ごはんは母親が担当だったので、僕はもっぱら散歩と遊び相手役でした。


元気一杯の犬で、散歩が大好きでした。
僕がロープをもっただけで大興奮です。
興奮して飛び跳ねるので、ロープがつけられず、結果的に散歩に行くのが遅れます。
ですが、彼はその仕組みに生涯気がつきませんでした…(笑)


そしてもう一つ、コゲが大好きなものがありました。
背中をなでられる事です。

小さい頃から、事ある毎に背中をなでていたら気に入ったようです。
僕を見つけると走り寄ってきて、背中を向けてチョコンとお座りします。

「なでて」

と言わんばかりに。

いつもはそこでマッサージ開始です。
たまに、ちょっといじわるして、何もせずに待っていると、

「ピー」

という寂しげな声を出して、顔だけこっちに向けてきます。

「ウソウソ、やってあげるから大丈夫。」

と言うと、コゲは待ってましたと言わんばかりにまた前を向きます。

そうやって10分ほど、ゆっくり背中をなでてあげると大抵満足します。

その後は振り向いて

「ありがとう」

といった感じで、今度は僕の手をペロペロペロペロなめてくれます。


コゲは外飼いの犬でしたが、夜は家の玄関に入れてもらえました。
毎晩、玄関でコゲの背中をなでるのが僕の日課でした。

心臓病だった!

僕が高校生の頃、コゲが耳の病気になりました。

かかりつけの獣医さんのところに治療に通ったものの、なかなか治りませんでした。
困ったので、新しく近くに出来た動物病院にも行ってみました。


新しい病院でも、やっぱり同じ病気と言われました。
ただ、治療を受けたところ、今度はすぐに治ってしまいました。

良かったと喜んでいたのですが、そこで思わぬ事を言われました。


「フィラリアにかかってますね。」


心臓に寄生するフィラリアという寄生虫がいて、どうやらコゲはそれに感染しているらしいのです。



その病気の名前は知っていました。

そして、前のかかりつけの病院でフィラリア予防はしていたはずでした。



なのにどうして?



更に悪い事に、コゲのフィラリア症は重症のようです。
今年を無事に過ごせるかも分からない、と言われました。



突然の宣告に、何が何やらよく分かりません。

毎日の散歩で、この上なく元気に走り回っているコゲが、今年でいなくなる?

全然想像がつきません。



以前の獣医さんはヤブだったのか…?

耳ダニも全然治らなかったし…

毎年受けてた、フィラリアの予防は意味無かったじゃないか。

他のワクチンも効いてないんじゃないのか?


前の獣医さんへの疑念と文句ばかりが頭の中をかけめぐりました。

それから、その獣医さんのところに行く事はありませんでした。

コゲの病気を通して

あれから10年以上たち、僕は獣医師、それも心臓病を専門とするようになりました。

フィラリア症に関する知識も増え、冷静に当時の事を考えられるようになりました。
当時のコゲに何が起こったかも推測出来るようになりましたし、最初の獣医さんの事情も理解出来るようになりました。



でも当時の僕は、本当に何も知りませんでした。


知らないから、何か言われただけで混乱しました。

自分で考える材料を持っていないため、ただただ不安になりました。
挙句の果てに、周りを否定することで心のバランスを保っていました。

そして、

ただの飼い主なんだから、知らなくたってしょうがないじゃないか

そう思っていました。


もちろん、今でも同じように思う部分はあります。

「一人で全てを知る」のは非現実的です。
素人だけじゃ無理なことがあるから、職業があり、プロが存在します。
僕だって、たとえばテレビが壊れれば、修理してくれるプロの指示に従います。

だからこそ、プロはしっかりしているべきだと思います。


ただ、その一方、

自分がもっとコゲの病気について知っていれば、違った結果になったかもしれない

という後悔も残りました。

僕が獣医師として目指すもの

この、コゲの病気を通して得られた経験がもとになりました。

当時の僕のような悔しい思いをする人を少しでも減らすため、自分の立場で何が出来るか考えました。


そこで生まれた、僕の獣医師として目指す目標は、

  • 犬猫の心臓病のプロとして、飼い主さんと共に最高の医療を行う。
  • 「知りたい」飼い主さんにプロとしての情報提供を行う。
  • 不安な飼い主さんの「心」に配慮した医療を行う。

です。


その情報提供のために作ったのが、ここです。
ホームページを作るのなんて初めてだったので、骨が折れましたが、

「知ること」によって、不安から解消される

そんな人が世の中にはいるだろうと思って頑張りました。


心臓病の愛犬と暮らす飼い主さんから、「周りに、同じ境遇の人、気持ちを分かってくれる人が少ない」という相談を受けた事もあります。

「愛犬が病気」というだけでも辛いのに、サポートが少ない中で頑張るのは、とても大変な事です。


もし、あなたと愛犬がそんな中で頑張っているのなら、僕の持つ知識や経験をこのサイトで提供し、サポートしたいと考えています。


学生時代、コゲと一緒に


きっとコゲも、それを喜んでくれると信じています。


P.S.

コゲのその後ですが…


実は、周囲の心配をよそに、ピンピンして元気に過ごしていました。
一年たっても、二年たっても元気でした。
僕が獣医大学に入り、6年間を過ごして獣医師になっても、何とコゲは生きていました。

そして、その後、色々ありました。
(ちょっとここまで書くと長くなるので省略します)

現在、コゲはこの世にいませんが、最後までコゲは家族のために生きてくれました。
家族の心を癒し続けてくれました。
感謝の気持ちでいっぱいです。

あなたにとっての愛犬も、そういう存在だと思います。
愛犬のためにも、このサイトを上手く利用し、納得のいく結果を出して下さいね。

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